奈義町との災害時等におけるドローン活用地域協定を踏まえ、防災庁の新総合情報システム(SOBO-WEB)の活用へ
―NPO全国G空間情報技術研究会の2025年度重点的活動について-
NPO法人全国G空間情報技術研究会理事長 碓井照子
令和4年(2022年)6月に閣議決定された新総合防災情報システム(SOBO-WEB)は、令和6年(2024年)4月から運用を開始した。SOBO-WEBは、災害情報を地理空間情報として扱う防災共有システムといわれている。 電子地図上で災害を俯瞰的に捉え、被害の全体像の把握を支援する地理空間情報システムで、その運用は新設される防災庁が担うようである。地方自治体も被災情報を地理空間情報として扱うことが必要になる。つまり、被災情報には常に位置情報を付けておくということである。地方自治体が災害直後にドローンなどで撮影した情報と、SOBO-WEBを連携させる機能が今回のSOBO-WEBには追加されている(図1)。SOBO-WEBを通して、国、地方自治体との情報共有化がスムーズになるといえる。 SOBO-WEBの電子地図は、国土地理院の電子地図をベースマップとして活用しているから、地理院地図でドローンの飛行経路を設定しておけば、被害のリアルタイム映像が地理空間情報としてSOBO-WEBで見ることが可能になり、国と地元自治体との被害情報共有がより迅速で操作も容易で効率化も図れる。 特に南海トラフを震源とする巨大地震が起きた時には、被害が広域であるゆえに、大都市部の大手測量/GIS企業がすぐに対応することは難しい。災害時には地元企業による災害被害把握が重要であり、地方自治体は地元の測量/GIS企業との地域防災協定を締結するのが望ましい。 我々のNPOは、「地方自治体の防災対策をGISやドローンで支援する地域防災」を会員企業の地方自治体で広めることをここ数年の活動目的としており、会員企業には、ドローンの有資格者を増やすよう対策をとってきた。 |
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今回、2020年の津山町に続き、全国第2例目として奈義町でもドローンによる防災協定を締結することになった。このことは、GIS-NEXT 2025年1月号で紹介したが、本年3月7日に正式に協定書を締結した(図2、写真)。その時、奈義町の奥正親町長と、この協定を子育てや教育分野への拡大の有用性も語ったが、 |
![]() 私は、防災、医療、教育が連携すべきで、SOBO-WEBを活用し、総合防災+αの活動が比較的容易に実現できるのではないかと考えている。 防災庁設置に期待して、この6月26日に開催されるNPOの全国大会に 防災庁設置準備アドバイザーの学識メンバーであり、国立研究開発法人防災科学技術研究所社会防災研究領域長の臼田裕一郎氏にご講演をお願いしている。 |
「GIS NEXT 第91号 掲載記事より」