2025年も地域防災と地域発展の要として地域の安心安全を守る活動の推進
―岡山県勝田群奈義町と「災害時等における無人航空機の活用に関する協定書」を1月に締結―
NPO法人全国G空間情報技術研究会理事長 碓井照子
今年、阪神淡路大震災後30年目を迎える。奈良大学に勤めていたころ学生たちと一緒に被災地に入り、がれき撤去を建物レベルで調査した。当時は、まだ、GISが日本では普及し始めたころであったが、奈良大学ではすでに全国的にも先駆的なGIS教育を始めていた。 この災害を契機に日本でGIS推進政策が始まったといっても過言ではない。今では、災害時にGIS技術は、不可欠のものになっている。特に昨今のUAV(無人航空機)の活用により、災害直後の被害状況がリアルタイムに市役所のスクリーンに映され、スマホでも見ることができる。30年前、紙地図で1軒、1軒、調査し、大学に戻ってGISに入力して行政の復興事業を支援したことを思えば、隔世の感がある。 大学を定年退職してからは、NPO法人全国G空間情報技術研究会の理事長として、地域情報産業であるGIS産業を全国に発展させるため、地方の測量設計業のGIS技術力向上に社会的使命を感じ活動してきた。現在では、地元のGIS技術力企業として行政にも信頼される測量系企業が成長している。その一つが、岡山県津山市にある株式会社シデックである。 株式会社シデックの土井良浩社長の仲介でNPO全国G空間情報技術研究会は2020年7月20日、津山市と「災害時における無人航空機(UAV)の活用に関する協定」を締結した。(GISNEXT73号掲載) |
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それから5年目の2025年1月、株式会社シデックの津山市での実績により津山市に隣接した岡山県勝田郡奈義町と「災害時等における無人航空機の活用に関する協定書」を締結することになった。この協定書締結が実現した背景には、2024年11月10日に実施された奈義町総合防災訓練への参加がある。(写真1)地震直後に、ドローンにより被災現場の空撮を実践した。 奈義町は、合計特殊出生率が2.95(2019)と全国1位 2024年では2.21(奈義町ホームページ参照)という高い出生率を示す子育て支援の有名な地方自治体である。平成の大合併では多くの山間部の地方自治体が広域合併する中、住民投票の結果、合併をせずに単独自治体として住みやすい地方自治体を目指して発足した。 |
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子育て支援の現地見学で前岸田首相も訪問しており、高齢化社会における持続可能な社会づくりで有名な地方自治体である。協定書には、「災害時等」と明示されており、災害時に限らずNPOでもUAV-GISを広く住民生活の利便性向上で活用推進することも期待している。 |
「GIS NEXT 第90号 掲載記事より」