防災教育・地理教育を支援する活動の展開
-津波伝承碑の現地測量による地理院地図コンテンツ化活動と
地理院地図を活用した「地理総合」の教員研修支援―
NPO法人全国G空間情報技術研究会 理事長 碓井照子
国土地理院の行政懇談会(2019年3月15日開催)で災害対策・対応が重点的に審議され、今年度から従来の災害対応に加え、地理院地図を活用した災害の備え情報の充実を推進させるとなった。その一つが、自然災害伝承碑の地図化・地理院地図コンテンツ化、災害履歴情報を紙地図とweb地図に掲載する取り組みである。我がNPO全国G空間情報技術研究会も、早速、この取り組みに参加することにした。巨大津波が想定される和歌山県田辺市で津波記念碑をGPSで測量し、防災教育に役立つ地理院地図コンテンツを作製しようとするものである[1]。我々の活動は、地方の測量技術者の地理空間情報技術の向上がその目的であるが、地方創生や地方貢献もその活動の原点にある。近畿北陸G空間情報技術研究会の和歌山県のメンバーが現地測量を実施する。田辺市との連携で津波記念碑には、情報杭を設置することも検討している。正確な情報は、防災教育だけでなく津波被害の研究にも役立つからである。情報杭にスマホをかざすと地理院地図が表示され、過去の津波の情報が瞬時に理解できるというものである。この活動を順次、全国展開していきたい。
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また、市町村へ、事前防災の重要性を説明し、そのために必要な災害前の農山村地域も含めた2500レベルの電子地図作成と国と地方自治体が連携した基盤地図情報のスパイラルアップ更新(寒川町では、家屋のスパイラルアップ更新を実証実験[2])の意義を説明したい。UAV等による災害直後の迅速な被害把握や災害復興を支援する地元測量業者の社会的使命も果たさねばならない。 国土地理院の地理教育支援の報告書「地理を通じて自然災害から身を守るためにー災害を知り災害に備えるための地理教育―」(検討部会委員長:須貝俊彦(東大教授:自然地理学)がまとめられた。特に「地理教育の道具箱」の充実、地理院地図を活用した教材化支援や出前授業、教員研修支援など、積極的な地理教育支援策が盛り込まれており、2022年から実施される高校地理の「地理総合」
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による必履修化を考慮したものでもある。我々のNPOも今年の1月10日、北海道高等学校教育研究会地歴公民科地理部会からの要請を受け、地理院地図を活用してGIS教育に関して講演をし、地理必履修化に向けた教員支援活動を開始した。詳しい内容は、地理教育フオーラムにも掲載されている[3]。
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[1]www.gsi.go.jp/seisakuchousei/seisakuchousei41027.html |
「GISNEXT 第67号 掲載記事より」