「設立15周年記念冊子」の発行

 

設立15周年記念冊子「NPO法人全国G空間情報技術研究会の歩みとこれから」の発行

 

 日本における本格的なGIS推進政策は、阪神淡路大震災直後から始まりますが、丁度その年に公表された「日本の経済システムの自己改革と国際的調和の在り方」(通商産業省産業政策局)では、急速な経済のグローバル化における産業政策の理念が「国土の均衡ある発展」から「市場競争力のある産業立地」に変化しました。この政策転換の中で、公共事業を中心にした国土の均衡ある発展政策とは真逆の東京一極集中が進み、地方経済の疲弊が始まります。特に、公共投資に頼っていた従来型の建設業や測量業は衰退しはじめ、イノベーションを必要としていました。位置情報を扱うGISは、測量業におけるもっともなじみやすいIT化のイノベーションの源泉でしたが、技術進歩が早いGISのスキルを地方の測量業に導入し、GIS技術力のある地元企業を育成するには、従来型の全国組織とは異なる、GIS学会や大学と連携した産官学連携組織でかつNPO法人の全国組織が必要であったのです。私が提唱したGIS産業で地方経済を活性化させるための実践活動が、NPO法人全国GIS技術研究会であったといえます。この15年間に、地方を拠点とするGIS技術力のある中小企業が育成されてきました。特に、東日本大震災や熊本地震などの災害時には、その重要性が、証明されたといえます。

 準天頂衛星による測位時代が始まろうとしています。Society5.0のベースとしての地理空間情報(G空間情報)活用の時代に入り、G空間情報センターの稼働、基盤地図情報は国土のインフラ情報としてさらに重要になっています。また、i-Construction、農業や林業のIT化(第一次産業のIT化)、自動運転、3次元データ時代のより広義で高度な技術力が必要とされています。名称を全国G空間情報技術研究会に改称し、これらの急激な技術革新を取り入れ、地方から日本国を豊かにする活動を、地理空間情報社会推進のために継続いたします。更なる発展を目指してこの15年間の足跡をまとめることにしました。

 NPO法人全国G空間情報技術研究会  理事長 碓井 照子