「NPO法人全国G空間情報技術研究会」に改称へ(名称変更申請中)

 

 

~地理空間情報高度活用社会を目指して地方創生をG空間情報技術で加速する~

 

NPO法人全国GIS技術研究会 理事長   碓井照子                    

 

 2017年3月24日、第3期の地理空間情報活用推進基本計画が閣議決定された。この計画では、第4次産業革命のフロントランナーとして世界最高水準の「地理空間情報高度活用社会」(G空間情報社会)を実現するとしている。2018年には、準天頂衛星4機体制が本格的に運用され、2016年から稼働したG空間情報センターが、地理空間情報の流通・利活用の中核機関としてオープンデータの収集をはじめ、膨大なデータの共有化や統合のハブになる。この基本計画の中に5つの重点施策(シンボルプロジェクト)の工程表があるが、その4番目に地方創生を加速するという施策があり、我がNPO活動の今後の活動内容と関係が深い。それは、①準天頂衛星測位時代の農業機械の自動走行技術の開発、➁地理空間情報とICTを活用した林業の成長産業化の促進、③i-Constructionの推進による3次元データの利活用の促進、④中小企業、小規模事業者の研究開発・サービスモデル開発の推進である。

 NPO法人全国GIS技術研究会は、北海道GIS技術研究会(1999)、東北GIS技術研究会(2001)、関東甲信越東海GIS技術研究会(2001),中四国GIS技術研究会(2000),九州GIS技術研究会(2001),近畿中部北陸GIS技術研究会(2002)が設立され,6地方のGIS技術研究会を支部として2002年5月10日に全国GIS 技術研究会が、GIS学会の賛助団体として発足した。当時の日本では、阪神淡路大震災をへて1996年12月「国土空間データ基盤の整備及びGISの普及の促進に関する長期計画」が策定され、基盤形成期(1996-1998), 普及期(1999-2001), 発展期(2002- 2005)別にその推進目標が作成された。基盤形成期から発展期にかけては,建設投資が1996年の83兆円から2005年の52兆円まで急減し, 測量系企業の構造改革が必要とされていたのである。 

 我々の研究会の活動は、地方の中小規模の測量系企業のGIS技術力向上のため、特に地方自治体の台帳の電子化や個別GIS導入、基盤地図情報の整備等に対応できるGIS上級技術者を育成することであった。それから15年、我々の会員企業も研鑽を積み重ね、地方ではGIS技術力のある企業として地方自治体にも認められるようになってきた。

 2007年地理空間情報活用推進法基本制定以来、第1期地理空間情報活用推進基本計画((2008年策定)そして第2期(2012年策定)を経て地理空間情報社会が形成されてきた。本年3月策定された第3期の5か年計画では、地理空間情報の高度な利活用社会創成がその目標になっている。また、準天頂衛星によるcmオーダーの測位時代も到来する。さらにドローンなどによる3次元測量技術も実用化も進み、i-Constructionも現実のものとなってきた。Society5.0に象徴されるIoTは、工業、流通分野だけでなく、農林業分野でも実用化されるであろう。また、この5年間に都市計画地域だけでなく農山村地域でも位置精度のよい基盤地図情報も整備されようとしている。地方経済を支えてきた農林業や建設業のIT化が本格的に進み、地方創生が地理空間情報技術のもとに実現される日も近い。

 この様な地理空間情報社会の高度化の中で、地理空間情報に関する新技術を果敢に取り入れ、技術者を育成しなければならない。我々はGIS学会賛助団体に加えて測量系CPD協議会にも加入し、測量技術者の継続教育にも貢献できるようになった。第3期地理空間情報活用推進基本計画のもと、地方再生や地方活性化に貢献できる地元志向のG空間情報企業のためのNPO法人として舵を切ることにした。

                                  

「GIS NEXT  2017.4   第59号  掲載記事より」