第10回 全国大会の開催報告

 

         
 NPO法人全国GIS技術研究会は、第10回全国大会を6月25日(木)、東京に於いて全国6支部より100名近い会員が集まり開催しました。今回のメインテーマは「国のオープンデータ戦略」を取り上げ、地方自治体で実践・研究を重ねてきた実務の方々を講師に招いて、公開までの問題点とその解決方法そして利活用の実態を講演していただきました。
来賓挨拶で国土地理院参事官村上真幸氏は、地方自治体への支援で国の政策を充分に理解して技術習得に励んだ結果、数々の実績が出ている事に触れ、賞賛していただきました。
国土地理院企画部長村上広史氏より「アクションプラン2015」の政策課題と重点課題を具体的にご講演いただきました。特に防災面で国が整備するデータを使って自治体が住民に情報提供、その後民間で新たなビジネス創成に繋げるべきとアドバイスして頂きました。
技術講演は、初めに静岡県交通基盤部建築支援局技術管理課杉本直也氏から自治体導入先進事例である「ふじのくにオープンデータカタログ」担当者の立場で、公開に不安を抱く現場の本音とその解決方法、開示後の具体的効果を分かり易く示して頂きました。
次にあおき地理空間情報システム研究所代表青木和人氏より「地理空間情報とオープンデータ」と題し、オープンデータの7割を占める地理空間情報の更新を行政と民間・市民が持つ位置情報を纏め「正のスパイラル」で行うスキーム作りが重要と述べられました。
後半は、技術委員会から平成26年度活動報告をワーキンググループ単位で発表しました。①地理院地図のWebシステムへの活用、②GISのためのAR技術、③GIS上級技術者への道、④国の補助金制度の活用、⑤基盤地図情報スパイラルアップの内容でした。発表後に碓井理事長が総評とコメントを行い、地理院地図の技術支援活動で平成26年度電子国土賞功績賞受賞した神奈川県寒川町「e-マップさむかわ」の実績と国土地理院東北地方測量部が企画した基盤地図情報更新パイロット事業で行った宮城県七ヶ浜町の実証実験を評価して、今後国土地理院とタッグを組んで進める事が我々の使命であると結びました。
 続いて、碓井理事長から10回大会の記念に参加者に配られた「GIS産業論と測量業」の説明をしました。冊子は、公益社団法人日本測量協会月刊「測量」平成25年11月号から今年3月号までの8回に亘って寄稿したもので地理情報システム学会会長の平成14年から全国の会員とGISで活動した報告です。地方測量業者がICTスキルを付け地域情報産業への業態変革こそが、今後の地方創生事業の切り札であると結論付けました。国のオープンデータ戦略は、GIS産業発展の追い風になると断言して全国大会を締めました。
「GIS NEXT 2015 Summer(第52号)投稿記事より」