まちづくり協議会への支援活動

 

~地理院地図で住民がつくる防災マップ (千葉県佐倉市)~

NPO法人全国GIS技術研究会 専務理事 宮島四郎

はじめに

全国GIS技術研究会は、平成15年に内閣府からNPO法人の認定を受けて13年が経過しています。その間「国と地方自治体との橋渡し役」に徹して全国6支部でGIS普及活動を展開してきました。新たに千葉県佐倉市で活動をしている根郷小学校区まちづくり協議会から要請を受けて、地理院地図を使った防災マップ作りに協力しています。昨年11月に佐倉市南部地区福祉センター研修室で57名の会員が集まって、防災講演会を開催しました。マップ作成と講演会の活動を通して、地域防災に対する国との橋渡し役も推進しています。

これまでの支援活動

平成27年7月、私共のホームページに防災マップを構築したいとの依頼がありました。早速9月、防災担当者18名に事例を中心に講習会を半日行いました。各メンバーが歩いて集めた場所(消火栓・防火水槽・防災井戸・AED・介護施設・公共施設)は、紙地図に色鉛筆を使い種別に書き込まれていました。私共技術者が作り込んで構築した地理院地図に位置をセットアップして、平成28年度の総会で参加者にシステムを見て貰いました。

防災講演会開催のきっかけ

総会後まちづくり協議会橋本雅之会長からは地理院地図によるネット公開の狙いとして何処でも大災害の発生は避けて通れない時代だ、先ず自分の命は自分で守り、次に地域で助け合う必要がある。防災マップは生き延びる為の情報の共有ツールとして役立てたいと有事に於ける自助・共助の必要を訴えておられます。そこで地理院地図で公開されている「土地条件図」と「明治前期の低湿地」を使い、自分達が住んでいる土地の生い立ちや特性を知ることが命を守る為には重要なこととお話して、講演会の開催を提案致しました。

講演会の内容

当日、挨拶で橋本会長から講演会開催の趣旨を話して貰い、続いて防災部副部長森哲郎氏が完成した防災マップを使って、防災関連施設の場所情報をネット経由で紹介しました。

講演会は、国土地理院関東地方測量部 齋藤俊信地理空間情報管理官に「防災に地図を生かす」と題して90分お願いしました。実演は佐倉市周辺の地理院地図の上に地形分類を重ね合せ地形などの特質を解説、明治前期の低湿地の地図にその後の開発行為を航空写真で確認して、埋土や盛土を特定することで揺れによる液状化を判断することが可能と説明してくれました。国土交通省ハザードマップホータルサイトに繋いだ結果、佐倉市周辺には地すべり危険箇所や土石流危険渓流が設定されていないことで、一安心されていました。

今後の活動

新年度から佐倉市全域で防災マップが作成出来るように他地区まちづくり協議会に働き掛ける予定です。将来的には、地元小学生と通学路や遊び場のハザート情報を子供達の目線で抽出して貰い、地理院地図への共同作業を通じて防災意識を高めたいと考えています。

   

   

                                     

「GIS NEXT  2017.1   第58号  掲載記事より」